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中学校技術家庭の計測と制御の授業には 〜ロボット関連学習教材がお勧め
Report by 荒井貞博 平成20年(2008年)3月28日に文部科学省から、「新しい幼稚園教育要領、小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領等」が公示されました。中学校学習指導要領は、平成21年4月1日から移行措置として数学、理科等を中心に内容を前倒しして実施するとともに、平成24年4月1日から全面実施することになっています。 技術・家庭では、以前の学習指導要領では選択だった「マルチメディアの活用」「プログラムによる計測・制御」が必修内容となりました。ここで「プログラムによる計測・制御」の部分が正にロボット関連学習教材として対応するものとなっています。 □文部科学省ホームページ https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/index.htm □新しい学習指導要領(中学校学習指導要領解説)掲載ページ https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/chukaisetsu/009.zip ▼抜粋内容 ア コンピュータを利用した計測・制御の基本的な仕組みを知ること。 計測・制御システムは、センサ、コンピュータ、アクチュエータなどの要素で構成されていることや、計測・制御システムの中では一連の情報がプログラムよって処理されていることを知ることができるようにする。 また、センサから入力される信号や、アクチュエータに出力される信号はいずれもアナログ信号であり、コンピュータが記憶・演算できる情報はディジタル信号であることから、計測・制御システムの各要素において異なる電気信号(アナログ信号とディジタル信号)を変換し、各要素間で情報の伝達が行えるようにするためにインタフェースが必要であることも知ることができるようにする。 例えば、エアコンディショナなど、コンピュータによって環境の状況を計測し、機器の動きを制御している身の回りの機器を取り上げ、人間の目や耳の代わりに機械や環境の状態を計測している部分やどのように処理・判断しているかをプログラムやインタフェースの役割とともに知ることができるようにすることが考えられる。 【ポイント解説】 ここでいう、計測による情報の入力部分がセンサであるり、制御部分のコンピュータ(パソコンまたはマイコン)プログラムで情報を処理し、その結果としてアクチュエータ(モーター等)を制御(動く)・出力する部分となる。 イ 情報処理の手順を考え、簡単なプログラムが作成できること。 情報処理の手順には、順次、分岐、反復の方法があることを知ることができるようにする。また、目的や条件に応じて、情報処理の手順を工夫する能力を育成するとともに、簡単なプログラムを作成できるようにする。 この学習では、プログラムの命令語の意味を覚えさせるよりも、課題の解決のために処理の手順を考えさせることに重点を置くなど、コンピュータを用いた計測・制御に関する技術の目的を意識した実習となるよう指導する。 また、情報処理の手順を考える際に、自分の考えを整理するとともに、よりよいアイディアが生み出せるよう、フローチャートなどを適切に用いることについて指導する。 情報処理の手順の工夫については、内容「Bエネルギー変換に関する技術」の(2)で製作した作品や、内容「C生物育成に関する技術」の(2)における温度などの生育環境を管理する装置等、センサからコンピュータ、そしてアクチュエータという情報の流れを生徒が理解しやすいものを計測・制御の対象とし、目的を達成するために、センサからの入力に応じて適切にアクチュエータに出力できるようにすることが考えられる。 【ポイント解説】 ここで、プログラムに関しては命令語(プログラミング言語)を覚えさせる必要は無いと明記されている。フローチャートによるプログラム手順(流れ)を理解できるように指導することを重点に置いている。学習キットのプログラミングソフトは、このフローチャートを視覚化したブロック(アイコン等)を並べていくだけでプログラムを実行できるものが増えており、それらを利用する事で容易に理解出来る指導が可能になる。 【指導計画について】 ・「計測・制御」に関する授業については、中学校3年生に配置し、授業時間は12〜15時間程度でカリキュラム計画を立てる例が多い。 ■レゴ教材を使った場合のカリキュラム例 最も授業時間の短い6時間カリキュラムでも制御の仕組みやプログラム作成の基礎、センサの役割を体験を通じて学ぶことが可能。 ・授業時間例 6時間 or 10時間-->必修授業 12時間 or 17時間-->選択授業 ●6時間枠 コンピュータ制御の仕組みを調べる -->ロボラボを使ったプログラム作成 -->センサの役割を調べる -->センサを使用した課題 -->まとめ ●10〜12時間枠 コンピュータ制御の仕組みを調べる -->ロボット製作 -->ロボラボを使ったプログラム作成 -->ロボットの性能を調べる -->センサの役割を調べる -->センサを使用した課題 -->競技会 -->まとめ ●17時間枠 コンピュータ制御の仕組みを調べる -->ロボット製作 -->ロボラボを使ったプログラム作成 -->ロボットの性能を調べる -->センサの役割を調べる -->センサを使用した課題 -->競技会 -->発展課題 -->発展課題の競技会 -->まとめ ※ロボラボ … ブロックを配置しフローチャート的なプログラム作成が出来るソフトウェア。
■ティーチャーズガイド(教師用教材) ![]() ・カリキュラム案(指導案、授業のポイント) ・6時間、10時間、12時間、17時間 ・授業に必要な準備物一覧 ・サンプルプログラム解説 ・ロボット管理方法 https://www.afrel.co.jp/academy/warp/lineup.html ■ロボデザイナー教材を使った場合のカリキュラム例 メーカーのジャパンロボテックのホームページには、豊富な導入事例が掲載されている。 https://www.japan-robotech.com/robodesigner/example/index.html ▼熊本大学 教育学部附属中学校 第3学年 技術・家庭科カリキュラム 「プログラミングと計測・制御」学習 https://www.japan-robotech.com/robodesigner/example/index.html#kumamoto ■ティーチャーズマニュアル(教師および講師用教) ![]() ロボット製作教材「RoboDesigner」を使用した、教師および講師用教本。 https://www.japan-robotech.com/robodesigner/edu/teacher.html 【ミニ情報】大阪の教育委員会では、教える先生自身が理解するための教材としてJapanRobotechのRoboDesignerを採用したようです。 【学習形態と学習カリキュラム展開】 ・人数に対する学習教材の割り当て数が予算や学習内容によってにより学習形態制限される。 >> ひとりに1台づつの割当て … 個々の生徒により、操作する速さと理解度のバラツキにより授業の進捗に影響が出る可能性がある点と、課題解決の為に考えさせる為の意欲という部分での工夫が必要である。 >> ふたりに1台の割当て … 1グループを4人として「グループに2台」の割当てにより生徒同士の協調によりバラツキを抑えられる。 >> グループに1台の割当て… 課題解決の為の学習として、個別の活動時間の確保が課題になる。 また、教材の形状により繰り返し使用可能かどうかによっても学習形態制限される。 >> レゴ関連学習教材 … ブロックを組合わせて組立てる為、学習教材を繰り返し使用可能である。教材価格が1セット辺り約5万円以上で比較的高価となる為、予算的には初回のみ導入費用が掛かるが、それ以降はあまり掛からない。予算的にはグループ学習向け。 >> その他学習教材 … ネジを締めたり、ブロックを組合わせて組立てる為、繰り返し使用できる学習教材は少ない。予算的には、学習教材の質によって価格がまちまちである。1セット辺り数千円から約1万円である。 ・取組み意欲の重要性 ・・・ 学習教材の選択とグルーピングによる意欲向上の工夫。 ・課題解決の為の学習カリキュラムの計画 >> 課題設定内容の工夫 >> フローチャートを活用したプログラム作成の為の思考、判断、表現 >> 個々の学習意欲向上の為の配慮 --> 学習形態や過程における改善・工夫。 >> 学習活動の記録と評価 ●まとめ 今回紹介した学習キットは、先生向けのテキストが用意されている教材を紹介したが、独自にカリキュラムを作られる学校や先生はこれらを資料を参考にしながら、その他の学習教材を使って授業を実施される場合もあり、予算や規模に合わせて考えていただきたい。 テクノロジアでは、いつでもご相談を承っておりますのでお気軽にご連絡ください。 shop@technologia.co.jp へメールでどうぞ。 □教育用レゴマインドストームの教材紹介ページ https://www.technologia.co.jp/73.htm □マイコン学習キットのページ https://www.technologia.co.jp/55.html (2010/04/06) |